個人的にはまず問題ないと思っています。
当院の2500本の埋入経験からも、チタンアレルギーを疑う症例はまだ一度もありません。
全て私が埋入オペしているので、豊富な経験に基づく、専門家個人の意見ではありますが。
文献的にはどうでしょうか?
比較的新しい文献を紐解いてみました。
Dent J (Basel). 2023 Nov 9;11(11):263. doi: 10.3390/dj11110263. Are Allergy-Induced Implant Failures Actually Hypersensitivity Reactions to Titanium? A Literature Review Megumi Watanabe 1, Lipei Liu 1, Tetsuo Ichikawa 1 Affiliations expand PMID: 37999027 PMCID: PMC10670842 DOI: 10.3390/dj11110263
この論文は無料で手に入れることができます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10670842/pdf/dentistry-11-00263.pdf
これまでに世界の報告を集めて考察しております。
インプラントを撤去すれば治る、水ぶくれ 皮膚炎 口唇炎などが発症したケースがあるようです。
少なくとも発生頻度は極めて稀なようです。 ほとんどが患者数1とか2とかのケースレポートばかり。
さらにはパッチテスト、LTT/MELISA などでも確実に診断できるわけではないようです。
インプラントの50年の歴史、そして現在もなお年間日本でも30万本程度埋入されているという状況を考えてみても、発症頻度はかなりレアであることが推察されます。
実際、皮膚科でもチタンアレルギーの検査はできないって言われることがほとんどです。
化粧品にも含まれていることも多く、近年は我々が曝露する機会は多いようです。
それでも心配な方は、インプラントはされない方が良いかと思います。
でも歯科用金属が口腔内に入っている方が、「インプラントのチタンアレルギーが心配」というのは理論的にはおかしいようです。
他の金属の方がよっぽどアレルゲンになりうるのです。
従って、まずは口腔内のメタルを外してみるところから始めてはいかがでしょうか?そこからインプラントをご検討下さい。
なお、チタンがダメならジルコニアインプラントはどうでしょうか?って良く聞かれますが、ジルコニアアレルギーも報告されております。
またジルコニアインプラントはまだ日本の薬事通ってなかったりと日本ではまだ障壁が大きいように個人的には思っています。
文責 寺嶋宏曜