歯根嚢胞があるような歯に抜歯即時埋入はできるのか??って歯科医師からも患者様からも聞かれることがあります。
結論を述べると、文献的(参考文献は一番下にあります。)にも問題ないようですし、私の臨床経験上も全く問題ありません。
これまで当院にて1000本程度抜歯即時埋入(vs2000本程度は通常の埋入)を行って参りました。
抜歯即時埋入の対象となった歯は、そのほとんどが何らかの感染を有している状態でした。
その中でインプラントが定着せず2週間から2か月後に脱落したものは、8本程度でした。(2024年12月執筆時点)
術後感染を起こしたからではなく、初期固定が弱かったからと推察しています。それらは、再度埋入してその後全て定着しています)
そもそも「感染していたら抜歯即時埋入は危険」という理屈では、抜歯即時埋入は一切できないことになります。
なんらかしらの感染があるから抜歯と診断しているのです。
感染していない歯を抜いてインプラントを入れるケースの方が圧倒的に稀です。(「つい最近生じた歯根破折」ぐらいだと思います)
感染していないのであれば、なんとか抜かずに保存しているでしょう。
「抜歯即時埋入は感染している歯を抜いて、徹底的に感染源を除去してそこにインプラントを埋める」治療法なのです。
抜歯即時埋入は教科書にも載っている、何十年も前から世界中で行われている、すでに治療として地位を確立している術式です。もし術後感染やインプラントのロストが頻発していたらとっくに消滅している治療法でしょう。
歯科医師の中にも未だに、「感染しているので抜歯即時埋入はやめた方が良い、抜いて骨が治ってから埋入した方がよい」って説明して患者様を混乱させている先生もいらっしゃいます(単にその先生が勉強していないだけかもしれません。)
逆に、「この症例は抜歯即時埋入の方がよ良い結果が出るから、寺嶋先生を紹介します」って言って、紹介して下さるとても勉強家で誠実な歯科医師もいらっしゃいます。
特に前歯部のご紹介は沢山頂いており、大変光栄でございます。
抜歯即時埋入の難しさ、奥深さは感染の有無にあるのではなく、埋入ポジションなど他の所にあるのです!(これらはまた別の私のブログをご覧ください)
ということで、文献的にも私の臨床経験上も、抜歯即時埋入は圧倒的に信頼できる治療となっております。
<参考文献>
Immediate Implant Placement in Non-Infected Sockets versus Infected Sockets: a Systematic Review and Meta-Analysis.
Retrospective analysis of dental implants immediately placed in extraction sockets with periapical pathology: immediate implant placement in infected areas.
BMC Oral Health. 2023 May 18;23(1):304. doi: 10.1186/s12903-023-02986-0.PMID: 37208620 Free PMC article.