Q インプラントメーカーによって結果に差は出ますか? ストローマン社のインプラントが良いっていろんなクリニックのHPに書いてあるので、気になります。
A これは大勢の方から質問されます。
これまで15年間で約3000本の手術を自分で行い、メンテナンスをしてきた立場から、専門医個人の見解として発表致します。
結論として、私は日本に流通しているある程度有名なメーカーにおいては結果に差は出ないと感じております。
当院でも、これまでにノーベルバイオケア、ストローマン、バイオホライズン、メガジェンと有名なメーカーの商品を使用してきましたが、差を感じたことはありません。
それよりもインプラントの骨の中のでの位置や、歯肉の厚みの問題、咬合の問題、セルフケアの問題など、メーカーの差よりも圧倒的に大きな差を生み出す要因が沢山あります。
特にインプラントのポジション(深さや角度などの3次元的な位置)は予後にかなり大きな影響を与えていると教科書的にも臨床実感からも、断言できるでしょう。
噛み合わせもとても重要です。 もちろん歯磨きしなかったらどんなインプラントも持たないでしょう。
ストローマンが優れていると世間で言われているのは、数年前にスウェーデンからそういう結果の論文が発表され、それをストローマン社が大々的に宣伝していることも要因かもしれません。
我々はアジア人です。欧米人のデーターが当てはまるとも限らない。
推測ではありますが、私のようにいろんなメーカーのインプラントを数千本取り扱ったことがある歯科医師であれば、メーカーの差を感じている人はいないのではないかと思います。
メーカーそれぞれの特徴があり、得意不得意はあるので、それを適材適所に使用できるかは結果に影響を与えますが、それを守れば差は出ないのではないかと思っております。
もちろんどこの国とは言えませんが、粗悪なメーカーや商品と感じるものも確かにありますが、日本で一般的に流通しているものであれば、問題ないと思っております。
最後に、私が当院で使用しているインプラントメーカーを日本国内におけるシェアも考慮して、自動車メーカーに例えてみます。(完全に私見)
ストローマン:トヨタ(一番日本で使われている!インプラントの値段もかなり高いのに、シェアも高いのは、ある意味不思議。マーケティング上手い)
ノーベルバイオケア:ホンダ (老舗ブランド、値段高い。新しい補綴ソリューションの開発が早いが、やや複雑)
メジェン:日産 (抜歯即時埋入には適している、費用も抑えることが可能。本当によく考えられたシステムであると感心するぐらい)
バイオホライズン:スバル (インプラント周囲炎につよいかも。値段はそこそこ。アメリカブランド)
いかがでしょうか?日本国内で車乗るのに、トヨタじゃないと絶対ダメということはないはずです。
車の性能(インプラントメーカー)より運転手(歯科医師)と整備士(患者)のスキルがもっと重要なのです。
分かりにくかったら申し訳ありません。
文責:寺嶋宏曜(日本口腔インプラント学会専門医)