2023/05/22接着性ブリッジを文献的に証する~やっぱりジルコニア接着性ブリッジの成績はGood~
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大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋です。
今日は当院でよく提供させている、ジルコニア製接着ブリッジについて、文献的に検証してみたいと思います。
なんでこんなことをするのかというと、とある有名歯科書籍での執筆依頼があったからです。
歯科マニアな方がおられましたら、どうぞお読みください。
(かと言って、この文章の中身に関する質問はお控え下さい。あくまでも私の趣味の健康情報ブログであります)
↑ 前歯のジルコニア製の接着性ブリッジはこんな感じのものです。
↑ 奥歯の接着性ブリッジはこんな感じです。
まずそもそもの知識として、私が行っている前歯のジルコニア製接着性ブリッジは、学術的には、
zirconia ceramic single-retainer resin-bonded fixed dental prostheses (RBFDPs) というものです。
まずは、有名な論文といえばこれ。
①Sailer I, Hämmerle CH. Zirconia ceramic single-retainer resin-bonded fixed dental prostheses (RBFDPs) after 4 years of clinical service:a retrospective clinical and volumetric study. Int J Periodontics Restorative Dent 2014;34:333-343.
15人の患者さんの15本の前歯のRBFDPsの予後を調べた論文です。
結果:4年間で失敗は0(2本が早期に脱落したが、再装着によりその後はキープできたとのこと)
この文献発表されてから、私もジルコニアの接着性ブリッジを手掛けるようになりました。
②Naenni N, Michelotti G, Lee WZ, et al. Resin-Bonded Fixed Dental Prostheses with Zirconia Ceramic Single Retainers Show High Survival Rates and Minimal Tissue Changes After a Mean of 10 Years of Service. The International Journal of Prosthodontics. 2020 PMID: 32956431.
10名の患者さんの10年間フォローアップの論文
結果:10本全て生存しており、10年生存率は100%
③M. Sasse, M. Kern Survival of anterior cantilevered all-ceramic resin-bonded fixed dental prostheses made from zirconia ceramic J. Dent., 42 (2014), pp. 660-663
前歯において、2-retainer RBFDPsは、single-retainer RBFDPs に生存率が低い。その理由は2本の歯の動きが異なるからであり、最も多い失敗の理由は、どちらかのウィングが脱離することである
⇒私の過去の臨床経験とも一致します。
前歯の接着性ブリッジ(1ウィングタイプ)は臼歯部には適しておらず、臼歯部にはinlay-retained fixed dental prosthesesが適しているという論文。
⇒私の臨床実感とも一致。
セメントの被着面積が大きい事と、ディスクルージョンさせていることにより歯の動きが一致しやすいことが推測されます(私個人の意見です)
当院で行っている奥歯の接着性ブリッジはこちらをご覧ください。
⑤Kern M, Passia N, Sasse M, Yazigi C. Ten-year outcome of zirconia ceramic cantilever resin-bonded fixed dental prostheses and the influence of the reasons for missing incisors. J Dent. 2017 Oct;65:51-55. doi: 10.1016/j.jdent.2017.07.003. Epub 2017 Jul 5. PMID: 28688950.
歯を失った原因を3つのグループ、先天欠損(G1), 外傷 (G2)、歯周病や虫歯 (G3),に分け、それらのグループで、接着性ブリッジの結果が変わるのかどうかを調査したもの。
結果:理由はなんであれ、全てのブリッジの10年生存率は93% 先天欠損(G1):98%, 外傷 (G2):77%、歯周病や虫歯 (G3):89%の生存率
以上、まだまだ沢山論文はありますが、
いずれにせよ、長期的な予後は素晴らしいのがジルコニア接着性ブリッジということです!
当院では、インプラントや接着性ブリッジを症例にご希望に応じて、ご提供しております。
文責 寺嶋宏曜