箕面市の寺嶋歯科医院の理事長、日本口腔インプラント学会専門医の寺嶋宏曜です。

今回も当院が得意としている抜歯即時埋入即時荷重（歯を抜いたその日のうちから仮歯が入る治療法）の症例を紹介致します。

一連の流れを解説致します。

８２歳女性。右上奥歯のブリッジが脱離して、来院されました。左の写真は急遽仮歯を入れたところ。

右側の写真を見ると、ブリッジの土台の歯が折れてしまっています。

ブリッジはもう不可能なので、治療方法としては部分入れ歯かインプラントです。

患者様はインプラント治療を選択されました。

高齢であるため、オペの回数は可能な限り少ない方が良い、治療期間は短い方がよい、さらに一気に多数の歯が無くなると口腔内の環境が大きく変化して食べることができなくなり、低栄養状態になるリスクがあるため、今回は抜歯即時埋入即時荷重を選びました。

高齢者の場合、従来の治療法のように、抜歯⇒3か月間部分入れ歯⇒インプラント埋入⇒入れ歯を暫く入れれない⇒最終の歯を入れるという6か月コースを選んでしまうとフレイルを引き起こしてしまう可能性があります。それは歯科医師として避けたいところ！

従って、高齢者こそ、抜歯即時埋入即時荷重がお勧めです。

今回は82歳ということもあり、歯科麻酔科医による静脈内鎮静を行っております。胃カメラや大腸カメラの時にする鎮静と同じです。

ウトウトと眠っている間にオペが終わります。（オペの体感時間は5分程度と皆さん言われます）

心電図検査など全身モニターを装着し、全身状態をのモニタリングをしながら安全にオペが可能です。

まずは抜歯を行います。抜歯してから、ここに3本のインプラントを埋入していきます。

今回は開咬量、ガイドの安定性、抜歯した穴が分かりやすいなどの理由でサージカルガイドを使うと余計に難しいと判断して、私の経験と技術を駆使してフリーハンドで埋入しています。

こういう高齢者の抜歯は、インプラント埋入よりも抜歯が結構難しいのです。

良いポジションにインプラントを3本を埋入し、周囲に骨補填材を填入しました。（所要時間はここまでで60分）

仮歯を装着しました（仮歯の製作に30分）

トータルオペ所要時間は、90分程度でした。

オペ当日から3か月経過した後に、最終のジルコニアブリッジを装着しました。

この間、ずっと仮歯があるため、食事は普通に可能でした。従って栄養摂取が十分に可能であり、体重が減ることなく、元気に過ごして頂けました。

オペ後1年経過時のレントゲンです。周囲の骨が安定したのが良く分かります。

また、3本のインプラントが平行に綺麗に埋入されているのが分かります（これこそが術者の技術と経験によるものです）

1年経過時の歯肉の状態は、非常に安定しています。歯肉の状態は治療終了時よりもさらに安定してきました。

ジルコニアの汚れにくさを表しています。当院には3か月に１度定期健診に受診され、ご自身でも美しい状態をしっかりとキープされています

オペ後3カ月で終了。

ビフォーアフターです。

この治療が3か月で終了するとは、本当に良い時代になりました。

オペの回数も抜歯も含めて、オペの回数は1回。治療期間はたったの3か月。歯が無い時期0。

82歳の方でも全く問題なく行えました。

この症例を抜歯して部分入れ歯にしていたらと思うと、やっぱりインプラントにして良かったのではないかと強く思います。

治療費：約140万円

インプラント治療は何歳までできるの？って良く聞かれます。

答えとしては、年齢は関係なく、大きな持病がなければ何歳でも可能です。

ちなみに、当院のインプラント患者様の最高齢は87歳（手術を受けた年齢）です。

文責　寺嶋宏曜