2023/07/13前歯の抜歯即時インプラント埋入~抜歯後の骨吸収を考察する~
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大阪府箕面市に寺嶋歯科医院です。
今回も当院が得意としている前歯のインプラントの症例を紹介致します。
いつものように抜歯即時埋入即時荷重(歯を抜いた日にインプラントを埋め仮歯まで装着する治療)です。
まずはビフォアーアフターをどうぞ。
一連の流れを解説致します。
前歯を過去に打撲して歯根が折れて歯が今にも抜けそうにグラグラしていました。歯肉も化膿して、歯も延びてきています。
まずはCTを撮影したところ歯根が折れていることが判明し、抜歯と診断しました。
周囲の骨吸収も進行しているため、審美的なインプラントを成功させるためには、高い技術が求められるケースです。
手術前にサージカルガイドと仮歯を用意します。
従来の考え方では腫れている部位に抜歯即時埋入は感染のリスクあると考えられてきました。(←結論、私の経験上、徹底的に掻把してすればほとんど大丈夫です)
それよりもこの状態で歯だけ抜いてインプラントを埋入しなければ、あとで骨が陥没して大変なことになります。余計インプラントが難しくなります。
(それは本文の最後にコメントしておりますので、最後までお読みください)
ということで、抜歯して徹底的に感染源を除去してからインプラントを埋入しました。
抜いた歯と埋め込んだインプラント。インプラントの周囲には骨補填材を入れています。
どこに骨補填材を入れるかが、この症例のポイントです!
上顎結節から歯肉を移植します。上顎結節とは、上顎の親知らずが生えていたところで、歯肉を採取しても術後出血や痛みの心配がほぼ無い部位です。
オペ終了した直後の写真です。出血もほとんどなく、仮歯が入るため、違和感ほとんどありません。
所要時間は、
①抜歯&掻把 5分
②インプラント埋入&骨補填&歯肉移植 50分
③仮歯装着と縫合 10分
ということで、合計約65分でした。
オペ後3.5カ月で終了。大変美しい歯肉。
どれがインプラントか見分けがつきません。(製作者 右上2と左上1番:院内技工士大谷 右上1インプラント:ジョニーズファクトリー正井氏)
レントゲンを重ねてみました。
ビフォーアフターです。
オペ時間60分、オペの回数は1回。治療期間はたったの3.5か月。歯が無い時期0。
治療費:約55万円(このように症例を使わせて頂ける方は割引しています)
なかなか見ることができない、抜歯した部位の骨吸収の進行度合いです。
正確に写真を撮影し、それを並べて初めて分かるのです。
骨補填材と歯肉を移植したとしても、これぐらい吸収していきます。(2回目の歯肉移植は希望されませんでした)
従って、抜歯するときにインプラントを入れとかないと、吸収が進んでからインプラントを入れようとすると余計に大変なのです!
私の診療を受けられた方は、大がかりなカメラでパシャパシャ撮影していることに喜んでくださいます(??←ほんまかいな)
正しい医療の発展には、記録が命なのが、この一連の写真からご理解頂けるのではないでしょうか。
cは綺麗に入って当然って皆さん思われているので、ハードルが本当に高い治療法ですが、この抜歯即時埋入即時仮歯は皆さん本当に喜んで下さいます。
追伸:2年経過時の写真は↓です!全く変化がなく安定しております。(というか上部構造装着後よりむしろ安定している。)
文責 寺嶋宏曜