2019/10/14抜歯即時埋入即時荷重とは
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近年のインプラント治療のトピックは「抜歯即時埋入即時荷重」と呼ばれる治療法です。
簡単に言うと、抜歯したその日のうちにインプラントを埋め込み、さらに仮歯まで入れる治療法です。
これにより、歯が無い期間が0となり、患者様のQOLが下がることのない治療法です。
この症例は後ほどご紹介致します。
ややアドバンスな治療であり、他の歯科医師からも質問される用語なので、詳しくご説明いたします。
従来の治療法は
①抜歯
②歯肉と骨が治癒するのを4ヵ月程度待つ
③インプラントを骨に埋入
④インプラントが骨と結合するのを3ヵ月待つ
⑤型取り
⑥最終補綴物(上部構造)を装着
という流れなので、9ヵ月~1年ぐらいかかることがありました。
抜歯即時埋入即時過重では
①抜歯と同時にインプラント埋入(さらに骨移植や歯肉移植も同時に行う)して、仮歯を入れる
②2ヶ月程待ち、型取り
③最終補綴物装着
と約3ヶ月で終われることが可能となりました。
なぜ、そんなことが可能となってきたのでしょうか?
それには下記の理由が挙げられます。
①世界中でデータが蓄積され、エビデンスがある治療として確立された。
②インプラントの表面性状が向上して、オッセオインテグレーション獲得まで期間が短くなった。(オッセオインテグレーションとは、インプラントと骨の生物学的な結合です)
③インプラントの表面形状が進歩して、確実に初期固定が取れるようになった。
④サージカルガイドを使用してのインプラント埋入により、インプラントのポジショニングのズレが少なくなり、予め製作している仮歯の調整が簡単になり、オペ時間が短縮出来るようになった。
では最後に当院での臨床例をご覧ください。
82歳男性、転倒により前歯が脱離しました。残っている2本の根も折れてしまっているため、抜歯と診断されました。
高齢者であるため、長い治療期間がかかる治療は希望されません。また前歯なので、歯が無い期間があるわけにはいきません。
そこで最も有効なものが「抜歯即時埋入即時加重」
ちなみにインプラント埋入時には、ルートメンブレンテクニック(ソケットシールドテクニック)という匠の技を使っています。(また別の機会で説明します)
手術から3か月で治療が終了し、その間ずっと歯がありましたので、患者様は非常に満足されております。
現代のインプラント治療は決して難しい治療ではなく、結果が読めやすく、長持ちする確実な治療です。
実際、当院スタッフは全員、歯を失った場合にはインプラント治療を受けております。
ただし、簡単になったとは言え、オペが必要なので、経験がモノを言う場面があることはあるので、執刀医選びは慎重にされることをお勧め致します。