2019/10/16まだ神経取りますか???
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「虫歯が大きいので、神経をとりましょう。」「神経を取ったら歯が脆くなって、将来折れてしまう可能性があります」
50年前から言われ続けてきた言葉です。
ご安心ください。現代の歯科治療においては、その頻度はかなり減ってきました。
神経を取らずに済む方法「MTAを用いた直接覆髄法」、「MTAを用いた断髄法」、「vital pulp therapy」などと呼ばれる治療法が登場して5年以上経過します。
MTAセメントと呼ばれるセメントを歯の神経に直接作用させることで、従来なら神経を除去しないといけないような症例でも、神経を残せるようになりました。
MTAの成分は下記のとおりです。(特に怖いものではなく、単なるセメントです)
・二酸化ケイ素 ・酸化カルシウム ・酸化アルミニウム ・酸化第二鉄 ・石膏 ・酸化ビスマス(造影剤)
この治療の特徴は、
①すでにズキズキしているような、神経に細菌感染が疑われるケースでは適応外となります→顕微鏡を用いた精密根管治療
②費用がかかる(当院では50,000円)、さらにセラミック修復するとなるとさらに50,000円程度かかります。
でも実際に、このケースの適応の方に、この治療法をお話しすると、9割の人が受けたいと仰られます。(皆さんも神経の大切さをご存じのようです)
受けない1割の人は、やはり費用の問題です。
神経を取る→歯が折れる→抜歯
神経を取る→根の病気が生じる→抜歯 と負のサイクルに入ってしまいます。
抜歯となればインプラント治療になるかもしれません(平均350,000円)。やっぱり神経を残す方が圧倒的にコストパフォーマンスが良いですね。
では、最後に当院の臨床例をご紹介致します。
患者:26歳女性
主訴:たまに冷たいものでしみる。穴が開いている気がする
上顎小臼歯に神経に達するほどの虫歯が認められました。
通常であれば、神経を取る治療になりそうですが、相談した結果、MTA療法を行うことにしました。
大きな虫歯、通常なら神経を取る治療が必要です。
神経にまで虫歯が到達しています
神経が顔を出しました。
MTAを直接作用させます。
セラミックで修復
神経の部屋にまでMTAが入っているのがわかりますね。
このように、顕微鏡を用いて精密に虫歯を取り、MTAを置きます。
筆者である、寺嶋歯科医院院長の経験上、90%以上の神経を残せています。
神経を取るとき、我々歯科医師は本当に悲しい気持ちになります。
「まだ神経取りますか??」