2022/10/09前歯のインプラントと矯正治療
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大阪府箕面市の理事長の寺嶋です。
今回は前歯のインプラント治療を、矯正治療を併用して行ったケースのご紹介です。
私のこの症例集は歯科医師の方も沢山見て頂いていますので、オレンジ色の文字は、歯科医師向けということで進めていきます。
左上2番に乳歯が残っていて、それがグラグラするのでインプラントにして欲しいという21歳の女性です。
レントゲンでは、永久歯が先天欠如しており、歯根が破折して今にも抜け落ちそうな状況です。
隣の左上1番は子供の頃の矯正治療により、歯根が吸収してしまっています。今回はこの歯に侵襲を加えないようにすることも大切です。
インプラントを入れるには幅が狭すぎる。さらには乳歯だったので、この幅では反対側の右側の2番と比べたら小さい歯になってしまう!
プラットフォームスイッチングタイプのインプラントを骨縁下埋入していることにより、従来の隣在歯との距離1.5㎜確保というのはバイオロジー的にも経験上も必要ないと思っております。
とうことで、インプラント治療の前に矯正治療を行うことにしました。
6か月の矯正治療を経て、矯正治療終了時の写真です。幅が広がり、インプラントオペが出来る状況になりました。
当院の通法に従い、手術前にサージカルガイドと仮歯を用意しておきます。
歯を抜いたその日のうちに仮歯が入る、抜歯即時埋入即時荷重という最新の術式です。
写真のようにサージカルガイドを用いることで、目標のポジションにインプラントを埋入することが可能です。
前歯部のインプラント治療を成功させる最も大切なポイントは、ずばりインプラントの3次元的な埋入ポジションです!(これを間違えると後ほど様々なトラブルが生じます)
APFのときに切除した歯肉を唇側に持ってきて、CTGも行っております。
歯肉をムダにしない!このような気持ちはとても大切です。
インプラントオペ当日の写真。仮歯が入った状態で帰って頂けるため、患者様の満足度がとても高い治療です。
写真のように、歯肉の位置をコントロールするため、Apically Positioned Flap(クラウンレングスニング)を用いています。唇側の骨を削って、歯肉マージンの位置をコントロールしています
術後1週間後の状態、大変綺麗に歯肉が治っております。
Geometric Suturesもそのままの形で残っています。(←教え子の歯科医師の皆様興味深いでしょ?)
インプラントオペから2.5か月後の状態。大変美しい歯間乳頭と辺縁軟組織です。
ルートメンブレンテクニックを用いているため、スティップリングが認められます
最終の上部構造を装着した日の写真。手術後2.5カ月。
ほとんどのケースで2か月で印象し、2.5カ月で最終上部構造を装着しています
最終のレントゲン写真。
プラットフォーム周囲の安定した骨が認められますね。
(歯科医師の皆様へのアドバイス:近心の歯根はルートメンブレンテクニックを用いて残しております。これを残すことで近心の歯間乳頭保存と、何より過去の矯正治療で歯根短縮が起きている左上1番の固有歯槽骨を守ります。)
さらに1か月経過時の写真。上部構造と歯肉がさらに馴染んでおります。これにて治療終了です。
本症例の治療期間は矯正治療が6か月とインプラント治療が3か月でした。
費用は矯正治療が約50万円(インプラントアンカー用いたり、過去の矯正治療のやり直しをしているため費用が少し高くなっております)
インプラント治療の費用が約50万でした。(サージカルガイドや、即日仮歯を入れたため高くなっております)