2023/10/30根面被覆術~痩せた歯肉を回復させるオペ~リグロス併用
- 症例集(審美)
寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋です。
本日は薄い歯肉、痩せてしまった歯肉をムキムキに復活させるオペをご紹介いたします。
まずはビフォアp&アフターをご覧ください。
歯肉が厚くなっているのがお分かり頂けると思います。
このオペの名前は
根面被覆術! 英語ではRoot Coverage といいます。
↑術前写真 下顎の前の歯肉がかなり痩せてしまっています(歯肉退縮と言います)
患者は40代女性、歯科医師です。
歯科医師の方なので、理論上ブラックトライアングルは改善されないことは事前にご理解頂いておりました。
歯肉が薄くなってどんどん歯根が長くなって、歯の予後が悪くなることが怖いとんことで、根面被覆術を希望して来院されました。
一般の方がご覧になっても歯肉がとても薄くなっていることが分かるのではないでしょうか?
ということで、一連のオペの流れを解説します!
上顎口蓋から歯肉を取ってきて患部に移植します。
歯周病の再生治療薬のリグロスを使用しています(本来の目的の使用ではないため適応外使用となります。)
これは大阪大学歯学部の歯周病科が開発した歯周病の再生治療に用いる薬です。
私も大学院時代に研究に携わっていたため思い入れが深い薬です。
従って、その効能に関しては良く知っており、実は使い方にはかなり工夫しております。(生意気言ってすみません)
出血がある写真は白黒にさせて頂きます。
歯肉を採った上顎にはシーネと呼ばれる保護プレートを装着して終了。この部分にも少しだけリグロスを塗布しています。
↑こちらが治癒過程です。
術後半年で歯肉がかなりムキムキ、バキバキになっていることが分かります。
残念ながら予想どおりブラックトライアングルは治りません。(歯間乳頭再建術はまたこの次に行う必要があります)
オペ6か月後の状態。毛細血管が増えて、歯肉がムキムキになっています。
歯肉を厚くすることで、将来どんどん歯肉退縮していくことを予防できます。
専門用語でいう、バイオタイプの改変です。
下顎の3番(犬歯)は良く治っています。
術前術後の写真。
<歯科医師向けコメント>
ブラックトライアングルは治りませんが、ミラーの分類のクラスⅠの両側の3番は完全被覆が達成できていますね。
下顎2-2はCairoの分類においてRT3であり、この結果が妥当だと思います。
ズッケーリの未来予測の文献に照らし合わせてみても、このゴールは上出来ではないでしょうか?
教科書どおりの治癒ですよね。血流って本当に裏切らない。その一方、奇跡も起きない・・・
この状態から次は「歯間乳頭再建術」に移行する予定です!こうご期待!
歯肉退縮⇒根面被覆術は、日本歯周病学会専門医に是非お任せ下さい。
執刀医&文責 寺嶋宏曜