2024/01/29下顎前歯部の歯肉退縮への歯肉移植術(根面被覆術)
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大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長 寺嶋宏曜です。
今回は、下顎前歯部の歯肉退縮への根面被覆術、結合組織移植術を紹介します。
Connective Tissue Graft(通称 CTG)を紹介致します。
この症例も当院の数ある症例の一つの症例に過ぎません。全ての患者様に同じ結果が出るわけではなく、全ての患者様で結果は異なることをご了承ください。
まずはビフォーアフターをご覧ください。パット見ても歯肉が増えていることが分かりますね。
この患者様は、20代女性。矯正専門医から矯正治療後に生じた歯肉退縮へのオペの依頼です。
矯正患者様あるあるですね。こればかりは仕方ありません。
では手術の経過をみていきましょう。
上の写真のように、歯肉を受け入れるスペースを作り、口蓋からの歯肉を中に移植します。
今回のオペでは、歯周組織再生療法の時に使用するリグロス®を用いてます。
成分が「線維芽細胞増殖因子」なので、このような歯肉移植にはとても効果が出やすい薬剤です。
塗布する場所や量がポイントです。(寺嶋ペリオ塾で受講生にはレクチャーしています)寺嶋ペリオ塾のブログはこちら!
その後の経過です。
移植された歯肉が綺麗に生着し、2週間後には馴染んできていることがわかります。
このテクニックは、おそらくCoronally Advanced tunnel technique(無理やり訳すと、歯冠側牽引トンネルテクニックかな)と呼ばれるもので、ダウンタイムが非常に短く、治癒が早いのが特徴です。
術式って、執刀医が患者様の個々の状態に合わせて臨機応変に変更するので、今回も、論文的なCoronally Advanced tunnel techniqueを自分なりに改変しております。
さて、よく質問される、「採取した上顎口蓋」はどのように治るのでしょうか?
別患者様の症例で説明します。
このような感じで、だいたい2-3週間で日常生活に戻れます。
歯肉退縮に対して、結合組織を移植して、根面を被覆する⇒根面被覆術 をご紹介致しました。
歯肉を増やして、防御力を高める。これはとても大切なことですね。
今回のオペ時間は麻酔も入れて75分程度でした。
結果が出て、執刀医として大変嬉しく思ってます。
患者様からは、「歯肉を採取した口蓋が辛かった」とのことですが、結果にはとても喜んで頂けたので、今後は他の部位も希望されております。
<根面被覆術のメリット>
・長い歯が短くなり、見た目がよくなる
・歯磨きがしやすくなる
・歯肉退縮が改善する
・歯肉が分厚くなり、歯肉退縮しにくくなる
<根面被覆術のデメリット>
・技術が難しい(術者選びが大切)
・症例によっては、成功しないことがある、むしろ歯肉が下がってしまう場合がある(厚みは必ず増える)
・上顎口蓋のダウンタイムが2週間と長い
・極めて稀に口蓋から術後出血する場合がある。
以上、文責は寺嶋宏曜でした。