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2024/03/04子どもの歯ぎしりについて~最新の知見2023~

大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋です。

我々の地域では馴染みが深い、子育て世代のためのフリーペーパーの「ママトリエ」から、お子様の歯ぎしりや食いしばりを心配されている親御さんは多いのでコラムを書いてほしいとの依頼がありました。

そこに投稿した内容を改変して、私のブログにも載せることにしました。

ではご覧ください。

歯医者さんから「子供の歯ぎしりは心配いりませんよ」「噛み合わせを整えるための生理的な運動です」などと説明を受けた方が多いと思います。

ではその説明って本当なのでしょうか?科学的根拠があるのでしょうか?

そこで今回は、最新の科学論文から重要なポイントを抜粋して、皆様にご紹介したいと思います。

今回参考にした論文は、Pubmed で「children」 「Bruxism」で検索し、ヒットした最も新しい文献です。

私は知らなかったのですが、2本ともなかなか優れた雑誌のようです。

スクリーンショット 2024-03-04 175134.png

ポーランドのBulanda先生グループの「Sleep Bruxism in Children: Etiology, Diagnosis, and Treatment--A Literature Review, Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18, 9544.

(J. Environ. Res. Public Health 誌はインパクトファクターが4.614もある著明な公衆衛生学に関する国際的専門誌です。)

スクリーンショット 2024-03-04 175057.png

イタリアのStorari 先生グループの「Bruxism in children: What do we know? Narrative Review of the current evidence.Eur J Paediatr Dent. 2023 Sep 1;24(3):207-210.

(Eur J Paediatr Dent は、ヨーロッパ小児歯科学会誌(European Journal of Paediatric Dentistry)の略称です。インパクトファクター2.5の雑誌。歯科ではまあまあな方ですね。)

の2つの論文です。

これらはレビュー論文といって、簡単にいうと、著者らが沢山の文献を調べて、それらを一つのレポートにまとめたものです。

これらの論文は皆さまも無料で読めますので、ご興味のある方はどうぞ!

では、Dr寺嶋が、この2本のレビュー論文を読んで、「子供の歯ぎしり」についてずばり解説していきます。

まず歯ぎしりや食いしばりなどの総称を、ブラキシズムと呼びます。

Q & A 方式で答えます。

➀ブラキシズムをしている子供は多い?

 世界の小児人口の5-50%にみられる。結果の幅が広い理由としては、ほとんどが親の報告に基づいているため研究そのものが難しいことにあるようです。

②子供のブラキシズムの原因は?

 睡眠時間が8時間未満や頻繁に目が覚める子には多いようです。睡眠時に電気をつけたり、物音を立てたりすることも好ましくありません。

心理社会的要因・不安・ストレスなども大きく影響しているようです。

なんと、受動喫煙に晒されている場合も、ブラキシズムが多くなるという研究結果もあるようです。

 これらとは対照的に、歯列の状態や、顔面の骨格の形態などはブラキシズムには影響がないと考えられているようです。従って、子供のブラキシズムを抑制する目的で、矯正治療などを行うことは科学的に支持されておりません。

③ブラキシズムはいつまで続くの?

 年齢とともに自然に減少する傾向にあります。しかし、年齢とともに減少するという研究結果には、単に夜間に親が子供の寝室を訪れる頻度が減ったからであるという考察もあるようです。(ちゃんと論文にそう書いてあります。面白いですね)

④性別で違いはあるの?

 性別による違いはないようです

⑤性格の違いがブラキシズムに影響するの?

 責任感が強い子、神経症を患っている子に多いようです。

⑥子供のブラキシズムが将来に影響するの?

 子供の頃に歯ぎしりが多いと、将来、顎関節症を発症する可能性が3倍高くなるとう報告があるようです。

⑦子供のブラキシズムの治療法はあるの?

 現在のところ、科学的に根拠がある治療法はありません。基本的には経過観察をすることになります。大半の小児は、小児期以降に徐々に減少していくことが分かっております。

明らかな睡眠障害やストレスなどの心理的要因の場合は、それに対するご家庭での対策を行ったり、歯がすり減って痛い場合や、顎関節症が生じているレベルであれば歯医者さんで対処療法してもらうのがよいと記載されていました。

マウスピースを装着することは顎の成長を阻害することに繋がるため推奨されていないと記載されていました。

ここからは私の意見ですが、矯正装置として顎を拡大しながら歯を守るマウスピース(アライナー矯正など)は近年メジャーな装置であり、歯の摩耗も予防できるし良い装置なのかもしれません。

当院でも「インビザラインファースト」は大変好評です。

<まとめ>

いかがでしたでしょうか?小児のブラキシズムは、まだ分かっていなことも沢山あります。

そもそも小児が対象であるため研究することが難しいようです。我々歯科医師でもわからないこと沢山ありますが、もし心配なことがあれば、まずはお近くの歯医者さんにご相談下さい。

文責 寺嶋宏曜でした。(とはいっても、レビュー論文を2本私が抜粋して中身を紹介しただけなので、クレームや質問は、この論文の著者に言ってくださいね。)

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