2024/07/20前歯のインプラント治療~やっぱり前歯部は難しい~
- 症例集
大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長です。
今回は前歯のインプラント治療~やっぱり前歯部は難しい~についてご紹介致します。
治療の一例を紹介しているだけであり、全ての患者様に同じ結果が出るものではありません。あくまでも参考例です。
前歯のインプラント治療をするか迷っている人の参考になれば幸いです。
まずはビフォアーアフターをご覧ください。
この症例の方は、大学病院で右上1番の抜歯を宣告され、大学病院のインプラント科を紹介されたのですが、予約が全然取れないため、当院にご相談にいらっしゃいました。
右上1番が歯根破折しており、仮歯を隣の歯に張り付けた状態で、いつ外れてもおかしくない状態でした。
当院でインプラント治療をすることのメリットや費用のことをお伝えし、大学病院よりや断然予約が取りやすいことと、費用も大学病院の2/3ぐらいでしたので、当院でのインプラント治療を希望されました。
抜歯したその日のうちにインプラント&仮歯を入れる究極の治療法、抜歯即時埋入即時荷重を行います。
サージカルガイドと仮歯を術前に用意しています。
このテクニックは私の中で十分に確立された治療法ですのでご安心下さい。
まずは抜歯を行いました。
サージカルガイドを使って、目的に位置にインプラントを正確に埋め込みます。
ここで私の歯周病専門医としての技術が発揮されます!
患者様自身はは隣の歯の歯肉退縮については全く気にされていらっしゃらなかったのですが、私からの提案で根面被覆を行いました。
トンネルテクニックを用いて、隣の歯の歯肉退縮に対して根面被覆術も一緒に行うことを試みました。
綺麗にトンネル形成ができていますね!
骨補填材と歯肉を移植しました。
仮歯を入れて終了。歯肉が下がらないようにするためにかなり工夫しております。
1週間後の状態。なんと左上1番の歯肉が一部壊死してしまっていました。
どれだけ症例を数多くこなしても、時にこういうことが起きます。
根面被覆術の成功は、術式と技術も大切ですが、患者様自身の歯肉の状態とポテンシャル、プラークコントロール、治癒期間に外傷力を加えないことなど、成功には様々な因子が関わります。
この症例では、移植した歯肉片が厚く、さらには骨補填材を入れたため、テンションがかかり過ぎたのか??露出面積が大きすぎたのか・・・
隣を抜歯してインプラントになったため歯根膜がなくなり血流が不足したのか??
これまで成功させてきた術式なのに、なぜ壊死が生じたのか・・・ できることはプロとして術式を検証し続けること。
3か月後の状態。もう一度根面被覆術を行うことも考えましたが、ご本人が特に気にならないとのことだったで、このまま最終のクラウンを入れることで合意に至りました。
歯の色合わせに苦労しましたが、患者様のご協力のもと終了させることができました。
1か月後のフォローアップ。インプラント周囲の歯肉は本当に美しい! 隣の歯の根面露出だけが悔やまれます。
御本人が全く気にされてなくても、術者としては気になります。(←はい、そうです。歯科医師の自己満足です。職人あるあるです。)
ビフォアーアフターです。
今回は、根面被覆を併用したのですが、100%の達成を得られることはありませんでした。
根面被覆術はこれまでかなり沢山の症例を手掛けて参りましたが、結果には本当に個人差があります。
その反面インプラント治療はほぼ100%の確率で、問題なく成功させることができます。
つくづく、移植医療と再生医療の難しさを実感します。
私は当院ホームページの私の症例集において、チャンピオンケースばかり提示して、患者様に誇大アピールして患者集めをしたいわけではありません。
歯科治療のリスク、難しさを皆様に知って頂き、検討して頂けたら嬉しいです。
文責 寺嶋宏曜