2024/07/15前歯のインプラント~歯肉退縮を起こさせることができない難症例~
- 症例集
大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長です。
今回は前歯のインプラント治療~歯肉退縮を起こさせることができない難症例~についてご紹介致します。
治療の一例を紹介しているだけであり、全ての患者様に同じ結果が出るものではありません。あくまでも参考例です。
前歯のインプラント治療をするか迷っている人の参考になれば幸いです。
まずはクイズです。下の写真で1本インプラント治療を行っております。どれでしょうか?
おそらく歯科医師でも判断ができないと思います。
答えはこちらです。↓
左上1番だったのですね。
この症例は東京在住の方で、8年ぐらい前に前歯部全て東京の審美歯科でセラミック治療をされたとのことでした。
左上1番が歯根破折しており、そこのインプラント治療を希望して東京より来院されました。
↑術前の状態 黄色矢印に歯根破折を認めました。
画像診断でも破折を認め、ご希望どおり抜歯してインプラント治療を計画しました。
今回一番難しいのは、隣のセラミックは気に入っており、やり替えたくないとのことです。
従って、「術後に歯肉退縮が生じるとダメ」というハードルの高さ( ̄▽ ̄;)
即日仮歯を入れる必要がありますが、万が一初期固定が取れなかったら、隣の歯に仮歯を張り付けることもできない( ̄▽ ̄;)
抜歯したその日のうちにインプラント&仮歯を入れる究極の治療法を行います。
サージカルガイドと仮歯を術前に用意しています。
このテクニックは私の中で十分に確立された治療法ですのでご安心下さい。
まずは抜歯を行いました。
サージカルガイドを使って、目的に位置にインプラントを正確に埋め込みます。
骨補填材と歯肉を移植しました。
仮歯を入れて終了。出血もほとんどありません。歯肉が下がらないようにするためにかなり工夫しております。
このあたりのテクニックは歯周病専門医としての技術を注ぎ込んでおります。
この状態で3か月待ちます。途中で仮歯の調整を1回挟んでおります。東京から来院されているため、来院回数のコントロールもとても重要でした。(他の部位の治療を行いながら、無駄が無いようにスケジュールを組みます)
3か月後に最終上部構造を装着しました。歯肉が全く下がっていないため、当然隣の歯のセラミックもそのままでいけました。
さらに半年後のフォローアップ。美しい!!
ビフォアーアフターです。
オペは1回だけ。来院回数も少なくて東京在住の方でも十分に満足頂ける来院回数でした。
費用は約55万円。
前歯のインプラントはご本人も私も命がけ。
正直、我々にとって患者様の過度な期待は恐ろしいのですが、結果を出せたときは何事にも代えがた喜びでもあります。
文責 寺嶋宏曜