2025/05/02複数歯の歯肉退縮に対する根面被覆術~歯科医師向け~
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大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長 寺嶋宏曜です。
今回は、多数歯の歯肉退縮への根面被覆術、結合組織移植術を紹介します。
Connective Tissue Graft(通称 CTG)を紹介致します。
たまに私の症例がインスタでバズっていると聞くことがあるので、ロゴを入れてみました。(ChatGPTさんがすぐに作ってくれました)
この症例も当院の数ある症例の一つの症例に過ぎません。全ての患者様に同じ結果が出るわけではなく、全ての患者様で結果は異なることをご了承ください。
まずはビフォーアフターをご覧ください。同じ人とは思えないぐらい、パット見ても歯肉が増えていることが分かりますね。
この患者様は45歳女性。歯肉が下がっていることを気にされて、いろいろな歯科を受診され、最終的に当院にお越しになられました。
最初から歯肉移植をして欲しいとのことでしたので、お話はスムーズに進みます。
今回は歯科医師向けに解説するので、一般の患者様は置き去りにさせて頂きます( ´艸`)
では手術の経過をみていきましょう。
まずはドナーサイトの形成からですね。多数歯に及び、露出面積も多いため、このようなケースではトンネルテクニックでは不可能だと思います。
今回用いたCAFかVISTAが良いと思います。
歯間乳頭の上皮はノリシロとするため、除去しておきましょう。
上顎口蓋から歯肉を採取し、それを問題の部位に移植します。
移植片を固定した後、フラップを歯冠側に引っ張り上げます。
頬粘膜を動かしても、フラップの断端が動かないようにガチガチに固定しましょう。
懸垂縫合を用いることで、ゼニスのところもしっかりとアダプテーションします。
さらに今回のオペでは、歯周組織再生療法の時に使用するリグロス®を用いてます。
成分が「線維芽細胞増殖因子」なので、このような歯肉移植にはとても効果が出やすい薬剤です。
塗布する場所や量がポイントです。(寺嶋ペリオ塾で受講生にはレクチャーしています)寺嶋ペリオ塾のブログはこちら!
セミナーでは臨床動画で解説するので、より理解が深まると評判です(←自分で言う)
その後の経過です。リグロスを用いているため1週間後でもまだ赤く腫れている様子です(痛みはほとんどありません)。
除去できそうな糸から抜糸していきますが、全部を取るわけではありません。
3週間後にすべての糸を除去します。
さて、よく質問される、「採取した上顎口蓋」はどのように治るのでしょうか?
このような感じで、だいたい2-3週間で日常生活に戻れます。
この症例では、3週間かかりました。
私は、術後1.3週間後にチェック、その後は4か月後と8か月後の定期健診時にチェックするようにしています。非常に良く治りましたね。
歯肉退縮に対して、結合組織を移植して、根面を被覆する⇒根面被覆術 をご紹介致しました。
歯肉を増やして、防御力を高める。これはとても大切なことですね。
今回のオペ時間は麻酔も入れて75分程度でした。
結果が出て、執刀医として大変嬉しく思ってます。
<治療費>約20万円
<根面被覆術のメリット>
・歯肉退縮が改善する
・歯肉が分厚くなり、歯肉退縮しにくくなる
<根面被覆術のデメリット>
・技術が難しい(術者選びが大切)
・症例によっては、成功しないことがある、むしろ歯肉が下がってしまう場合がある(厚みは必ず増える)
・上顎口蓋のダウンタイムが2週間と長い
・極めて稀に口蓋から術後出血する場合がある
以上、文責は寺嶋宏曜でした。