2025/07/28前歯のインプラント〜重度の歯列不正に対するシミュレーション主導のアプローチ〜
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大阪府箕面市の寺嶋歯科医院、理事長の寺嶋宏曜です。
今回は、重度の歯列不正部位に、抜歯即時埋入+CTGを用いて、審美性・清掃性を回復させた症例をご紹介します。
まずはビフォーアフターをどうぞ。
本症例では、最終的に1本のインプラントで前歯2本分のクラウンを支えるという補綴設計を行いました。
症例概要
治療計画:シミュレーションが鍵
審美領域かつ、歯列不正が重度であったため、術前にデジタルシミュレーションを徹底的に行いました。
ご本人は八重歯を残したい希望されていましたが、残した場合と抜いた場合でシミュレーションを行い、八重歯の抜歯を行いました。
もちろん全顎的な矯正治療も最初に提案しましたが、希望されませんでした。
理想的な埋入ポジションと補綴形態を事前に設計。
その結果、1本のインプラントで2本分の前歯の形態を再現することが可能になりました。
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▲ デジタルシミュレーション:見た目と機能の再現を事前にイメージ
手術ステップ(サマリー)オペ時間トータル60分程度
▲ ガイド下で埋入・骨補填・軟組織移植を一連で実施
術後経過と最終補綴
術後の治癒は良好で、歯肉の厚み・高さともに十分に回復しました。![]()
最終補綴は、1本のインプラントで隣接歯をカバーするクラウン形態とし、清掃性・審美性を両立しました。
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となりの天然歯をこれからももっとホワイトニングしていきたいとのことなので、ご希望に沿い、やや白めを装着しております。
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▲ Before→After:シミュレーションどおりの結果となりました。
治療概要
- 治療期間:約5か月(ホワイトニング2か月を含む)
- 治療回数:約6回(シミュレーション打ち合わせ・ホワイトニングなど全て含む)
- 費用:約700,000円(税込)
- 使用インプラント:メガジェンエニーリッジ
- 使用材料:サージカルガイド、即日仮歯、骨補填材、自家結合組織
リスク・注意点
- 術後の腫脹・疼痛・出血
- インプラント周囲炎のリスク
- 骨補填材の吸収や骨結合不全
- CTG採取部の一時的な知覚異常や違和感
頂いたアンケート!!最後は私を信頼し、提案したプランを受け入れて下さり、こちらこそ感謝申し上げます。
院長コメント
本症例は、「八重歯は抜きたくない」というご本人の強い希望を尊重しつつも、そのままでは良い治療結果にはつながらないと考えた私の意見とのすり合わせに、時間を要した症例です。
患者様にご納得いただくまで、丁寧にシミュレーションや模型を用いて説明を重ね、最終的には双方が納得できる治療方針を共有できたことが、今回の成功につながったと感じています。
患者様のご希望を最大限尊重しつつも、プロとして避けるべき選択肢については明確にお伝えすることも大切です。
ただし、言葉だけで説明しても伝わりにくい場面が多いのも事実です。
そのようなときこそ、デジタルシミュレーションや模型を活用することで、患者様の理解と納得を深めることができます。
今回の症例でも、術前に具体的なシミュレーション画像を提示することで、治療の方向性を安心して共有することができました。
最後に、少し身も蓋もないことを申し上げます。
どれだけ精密なシミュレーションを行っても、最終的には「歯科医師の技術力」こそが結果を左右します。
デジタル技術の進歩は目覚ましいものがありますが、それを最大限に活かすには、経験と判断力、そして丁寧な手技が欠かせません。
当院では、シミュレーションと技術の両立を徹底し、質の高い治療をご提供できるよう努めています。
また歯科医師の皆様には、今後もこのような難症例を、寺嶋塾アドバンスコースなどで紹介してまいります。
寺嶋宏曜