【ごあいさつ】

大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の寺嶋宏曜です。
これまで15年間で3,000本以上のインプラント手術を行ってきましたが、前歯のインプラント治療は特に審美的要求が高く、術者の技術と設計力が結果を大きく左右します。
今回は、前歯がぐらぐらすることと、歯ぐきのラインを整えたいという55歳女性の症例です。
（※治療結果には個人差があります）

【症例概要】

患者：55歳女性
主訴：前歯がぐらぐらする。歯ぐきのラインを整えてほしい。
診断：上顎前歯部の歯肉縁下カリエス　根尖病巣
治療内容：前歯部抜歯即時インプラント埋入＋歯肉移植術（CTG）＋即日仮歯装着
使用インプラント：メガジェン
治療期間：約6か月
治療費：約140万円

【治療の流れ】

① デジタルシミュレーション

スマイル分析と歯列デザインを行い、理想的な歯の位置と形態を3D上で再現。
どの位置にインプラントを埋入すべきか、補綴主導の観点から精密に計画します。

② 術前シミュレーション

CTと3Dデータを統合し、#12・#21部への埋入角度・深度を決定。
骨幅の制約を考慮し、審美性と長期安定性を両立した設計としました。

左上2番は保存可能でしたが、歯肉ラインを整えるためにご本人と相談して、戦略的抜歯を行う計画を立てました。

③ サージカルガイドと仮歯の製作

術前に作製したサージカルガイドで、手術精度をミリ単位でコントロール。
同時に即時に装着可能な仮歯を準備し、審美性を保ちつつ治癒をサポートします。

④ 抜歯即時インプラント埋入

抜歯と同時に、サージカルガイドを用いてインプラントを埋入。
手術時間を短縮し、骨と歯肉の損傷を最小限に抑えました。

⑤ 歯肉移植（CTG）

右上1ポンティック部分のボリューム回復および、唇側歯肉が薄く、将来的な退縮リスクが高いため、口蓋部から結合組織を採取して移植。 トンネル法により傷口を小さくし、歯肉の厚みと自然なカーブを再現しました。

⑥ 即日仮歯装着

術直後に仮歯を装着し、審美的にも機能的にも快適な状態を維持。
歯肉の形を整える"テンプレート"としても重要な役割を果たします。

歯肉を採取した部位は、上顎臼歯部の後方です。

⑦ 犬歯部の歯肉整形術（APF）

インプラント部の歯肉ラインが整った後、ご本人の希望もあり、最終的な左右バランスをとるために犬歯部のAPF（歯肉弁歯冠側移動術）を行いました。 これにより、左右の歯肉ラインが自然に連続し、笑顔時の歯ぐきの見え方が格段に美しくなります。 インプラントだけでなく、周囲の天然歯との調和を意識することが、審美インプラント成功の鍵です。

⑧ 最終補綴（Final Restoration）

6か月後、セラミッククラウンを装着。
歯肉ラインが左右対称となり、自然な笑顔が回復しました。
レントゲンでもインプラントの安定性と骨の維持が確認されています。

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【Before → After】

治療前のシミュレーションと治療後の比較です。
デジタル設計をベースに、実際の最終形態がほぼ一致していることがわかります。
「理想を現実にする」ことこそ、デジタル歯科と精密外科の融合による最大のメリットです。

もちろん目的を達成するための歯科医師側の技術が重要であることは言うまでもありません。

（↓画像：治療前 → シミュレーション → 治療後）

（↓画像：前歯のインプラント治療 Before / After）

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【院長コメント】

　今回のように抜歯即時埋入＋歯肉移植＋即日仮歯を同日に行うことで、 見た目の変化だけでなく、歯ぐきの自然な立ち上がりを維持することができます。 こうした一連の流れは一見シンプルに見えますが、 複数の技術（インプラント外科、歯周形成外科、デジタル補綴）を組み合わせた高度な治療です。

単なるインプラントを用いた「機能回復」にとどまらず、顔全体の印象を変えるレベルの審美改善が可能になります。 歯ぐきのカーブが美しく揃うと、笑顔のバランスが整い、より自然で若々しい印象を与えます。

寺嶋歯科では、術前シミュレーションから補綴まで一貫して行うことで、「機能と美しさ」を両立した長期安定を目指しています。

デジタルとアナログを融合させ、繊細な歯肉のラインを1歯単位でコントロールする。 それが私たち寺嶋歯科のインプラント治療です。

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【リスク・副作用】

・手術後に腫れ・痛み・内出血が数日間続くことがあります。
・喫煙や全身疾患により治癒が遅れることがあります。
・インプラントが骨と結合しない場合は再手術が必要になる場合があります。
・仮歯期間中は硬いものや粘着性のある食品を控える必要があります。

文責：寺嶋宏曜