2022/11/09歯周組織再生療法~エムドゲインを用いた症例~
- 症例集
大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋宏曜です。
本日は歯周病の症例をご紹介致します。
44歳女性、重度の歯周病で来院されました。
この手術前の状態は、「歯周基本治療」と呼ばれる、歯科衛生士による歯肉の中の歯石を取ったする治療を行った後の状態です。
歯周病による骨吸収(骨が溶ける)が生じております。
当院は日本歯周病学会専門医であるため、最初から「すぐに再生治療」を行って欲しいというリクエストを下さる患者様がよくお見えになります。
大変申し訳ありませんが、まずはお口の中の環境を良くしていく「歯周基本治療」が必須となりますので、ご理解頂けると幸いです。 日々の歯磨きも本気で頑張って頂く必要があります。歯周基本治療なしで、手術の成功はあり得ません。
遠方の方は、かかりつけ医と連携して、手術だけ当院で行うこともしておりますので、ご相談下さい。
手術中の写真です。当院は、日本顕微鏡歯科学会認定医でもあり、歯周外科手術には全て顕微鏡を用いております。
これにより小さな切開など、身体に負担をかけない手術が可能となっております。
この症例では、エムドゲインと呼ばれる1998年に開発された歯周組織再生誘導剤と、骨補填材を用いております。
再生治療は、インプラント手術など他の手術に比べて難易度が高く、顕微鏡を用いて繊細なオペが必要であるため、手術時間も結構かかります。この症例では60分かかりました。
術後3年後との比較です。
黄色の矢印でお分かり頂けるように、歯周病で溶けてしまった骨が再生しております。
本当に骨が再生したのかどうかは、組織切片を取らないと分かりませんので、正しくは、「再生していると推測される」としておきましょう。
全症例この症例のように良い結果がでるわけではない、それこそが歯周病の再生治療の難しさです。大切なのは、完全に再生したかどうかではなく、オペをしたことで歯の寿命が延びること。
レントゲン上で骨の吸収が治っているように見えなくても、感染がなく、歯肉の炎症が無くなれば、歯の寿命はちゃんと延びるのでご安心下さい。
ただ、術者も患者様もどうしても、レントゲン上での骨の再生を期待してしまうのも人の心情と言えましょう。
そして、最も大切なのは、オペをすることではなく、セルフケア&歯科医院での定期的なメンテナンスです。メンテナンスしなければせっかくオペを行ったとしても再発してしまいます。
今回はエムドゲインを用いた再生療法の一例をご紹介致しました。
(執刀医、文責 寺嶋宏曜)