2023/05/19ジルコニア接着性ブリッジ~プランB・いつもオペができるとは限らない~
- 前歯のインプラント
大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋宏曜です。
今回も当院が得意としている前歯部の接着性ブリッジについて紹介致します。
今回は患者様と相談して、やや妥協的プランで仕上げた症例をご紹介致します。
欠損していた部分に長い歯が入っていることがお分かり頂けます。
では、この症例について見ていきましょう。
35歳男性、事故で歯を失って、数か月経過して来院されました。
残念ながら、大きく陥没してしまっております。
こういう場合は、歯周病専門医として、基本的には歯肉を移植をご提案致します。
しかし、今回は御本人がどうしてもオペをしたくないということで、この陥没したままの状態で接着性ブリッジを入れることにしました。
御本人の希望が一番大切です。
(よく誤解されるのですが、専門医だからといって、何でもかんでもオペしているわけではございません。(';'))
最善の治療法を提案は致しますが、相談しながら、そこから患者様の価値観と希望に合わせて引き算をしていきます。
この症例では右上1番の裏側を少しだけ削って、デジタルスキャンをして、院内技工士が技工室で製作を行います。
歯科医師と歯科技工士がPC上で相談しながらデザインできること(特にオベイドポンティックの形態のデザイン)が院内技工の魅力です。
このようにジルコニアのウィングを隣の歯に張り付けるだけ。
非常にシンプルなデザインで、従来のブリッジより削る量が圧倒的に少ないことが最大の利点です。
歯を削る時にも麻酔も要りません。
強度もあり、9年ぐらい前から行っている治療法ですが、当院ではまだ一度も壊れたことがありません。(症例をしっかり見極めていることも理由の一つです)
治療終了時の写真。歯肉が陥没しているため、どうしても長い歯になってしまいます。
これがリアルな臨床結果です。オペをしないとこのようになります。
しかし、今回は「オペはしたくない」という限られた条件の中で最大限結果を出す。
それがプロだと思っております。
陥没していると長い歯になってしまう。⇒それを改善させるのが歯肉移植です。
当院は歯周病専門医として、このような歯肉移植を得意としております。
では、接着性ブリッジをまとめます。
1本支台の2本の接着性ジルコニアブリッジの
<メリット>
・歯をほとんど削らなくて良い
・治療回数は最短で2回(1日目:歯を削って光学スキャン 2日目:装着(もしくは1日で完了させるワンデートリートメントも可能な場合があります)
・費用が2本分で済む。 この症例では132,000×2本 ×左右分 でした。(ワンデートリートメントの場合は+22000円)
・もし壊れても、元の状態に戻るだけ。その時に通常の沢山歯を削るブリッジを行うのもよし、インプラントをするのもよし。
<デメリット>
・通常の歯を全周削る3本のブリッジよりは壊れやすいかもしれない(9年前から行っている寺嶋の経験上、まだ壊れたことはありませんが・・・)
・支えている1本の歯に負担がかかりすぎることがある(症例選択が重要です)⇒かみ合わせ調整が必要な場合がある
・ポンティック(ダミー)の部分のみで硬いものを噛むことはなるべく控えた方がよい
・噛み合わせが深い(ディープバイト)の患者様には、使えない場合がある(こればかりは応相談です)
・壊れてしまい、通常のブリッジを行う場合などは、再度費用がかかってしまう(当院の保証期間は5年)
以上、ジルコニア製接着性ブリッジの紹介でした。
皆さん、本当に喜んで下さるので、私も大変遣り甲斐のある治療の一つです。
(文責:寺嶋宏曜)