2023/08/02下顎前歯のインプラント~抜歯即時埋入&即時仮歯、歯が無い時期はありません~
- 症例集
大阪府箕面市の寺嶋歯科医院です。
今回も当院が積極的に行っている前歯のインプラントの症例を紹介致します。
いつものように抜歯即時埋入即時荷重(歯を抜いた日にインプラントを埋め仮歯まで装着する治療)です。
まずはビフォーアフターをご覧ください。
あくまでもこの症例は、数ある症例の一症例です。治療の過程や仕上がりには個人差があります。全ての患者様に同様の結果が出るわけではありません。
オペを行う以上、全ての患者様に様々なリスクがあります。
一連の流れを解説致します。
下の前歯の違和感と痛みを訴えておられました。一本だけ前に飛び出しており、審美性も良くありません。
レントゲンで、4本の歯根が傷んでしまっています。実はこのレントゲンは5年前のレントゲンです。数年前に口腔外科にて歯根端切除術を行ってもらっていますが、残念ながら感染が再発してしまったようです。
CTを撮影し、骨が真っ白になっていて、骨硬化像が認められます。抜歯を行うことになりました。
骨の状態を確認し、どこにインプラントを埋め込むかシミュレーションを行います。
抜歯すると骨が大きく吸収するため、その吸収を予測して埋入するポジションを決める重要な作業です。
手術前にサージカルガイドと仮歯を用意します。
従来の考え方では感染がある部位、病巣がある部位への抜歯即時埋入はリスクあると考えられてきました。
徹底的に掻把すれば大丈夫なことがほとんどですが、まれに感染が残ってしまうことがあり、再掻把が必要になる場合があります。
それよりもこの状態で歯だけ抜いてインプラントを埋入しなければ、あとで骨が陥没してしまい、あとで骨造成術を行う必要が出てきてしまい、余計インプラントが難しくなります。
ということ多少のリスクは伴いますが、抜歯して徹底的に感染源を除去してからインプラントを埋入しました。
抜いた歯と埋め込んだインプラント。インプラントの周囲には骨補填材を入れています。
使用したインプラントはメガジェン社のインプラントです。
これまでの専門医としての経験上、抜歯即時埋入にはメガジェンインプラントが最適と思っています。
オペ終了した直後の写真と1週間後です。出血もほとんどなく、仮歯が入るため、違和感ほとんどありません。
所要時間は、
①抜歯&掻把 25分 (病巣摘出にかなり時間がかかりました)
②インプラント埋入&骨補填& 30分
③仮歯装着15分
ということで、合計70分でした。
抜歯した部位の形態の変化をご覧ください。大きく吸収していることがわかります。
骨補填材を入れても、これぐらい吸収して治癒していきます。
この吸収を予測することがとても重要なことですが、非常に難しいことの一つです。ある程度の経験が必要なパートです。
抜歯即時埋入が難しいと言われる所以はここにあります。
一本だけ飛び出していた部位の歯肉も最初は凹んでいますが、その後綺麗に整ってきます。
オペ後3.5カ月で上部構造のジルコニアブリッジを装着して終了。
美しい歯肉に治癒しました。仮歯は4本形態でしたが、形態と清掃性を考え、最終は3本ブリッジにしました。
レントゲンを重ねてみました。
ビフォーアフターです。
1.5年後のフォロー時の写真、変化なく美しい!
オペの回数は1回。治療期間はたったの3.5か月。歯が無い時期0。
治療費:約130万円(10年保証付き)
リスク:感染
前歯のインプラントは綺麗に入って当然って皆さん思われているので、ハードルが本当に高い治療法ですが、この抜歯即時埋入即時仮歯は皆さん本当に喜んで下さいます。
しかしならが、抜歯即時埋入には通常のインプラント(歯が無い状態からスタートするインプラント)とは異なる難しさ、リスクがあります。
それらは症例によって全く異なりますので、まずは歯を抜く前にご相談ください。
文責 寺嶋宏曜