2023/10/16前歯の接着性ブリッジ~左上1番 76歳女性~
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大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋宏曜です。
今回も当院が得意としている前歯部の接着性ブリッジについて紹介致します。
まずはビフォアフターをどうぞ。
流れを説明致します。
76歳女性。
左上1番の欠損。前医で抜歯をして頂き、その後隣の歯を削って装着する通常のブリッジを提案されたが、歯を削りたくないと思って、当院にいらっしゃいました。
当院のホームページをご覧頂き、接着性ブリッジを希望され、遠方から2時間かけて来院されました。
診断の結果、右上1番(一番前の歯)を土台とするジルコニア接着性ブリッジを行うことになりました。
抜歯後そのまま放置すると、使わない筋肉が衰えるかのように、抜歯した部位の歯肉と骨も痩せていき、陥没してしまいます。
本症例でも痩せてしまっております。
審美性を追求するのであれば、歯肉移植を行いますが、今回は希望されませんでした。
経験上、接着性ブリッジを希望される方は、とにかく低侵襲な治療、簡便な治療を希望されます。
歯肉の移植まで希望される方は、やっぱりインプラントを選択される方が多いように感じます。
遠方であったため、来院された当日に型取りまで行いました。
院内の技工士大谷がジルコニア製の接着ブリッジを製作しました。
院内技工のメリットとしては
・納期が短い(最短では当日納品可能)
・歯科医師と技工士の細かい打ち合わせを、患者様を交えてチェアにて行うことが可能
このように薄いジルコニアのウィングを隣の歯(今回は門歯)に張り付けるだけ。
非常にシンプルなデザインで、歯をほとんど削らないことが最大の利点です。
歯を削る時にも麻酔も要りません。(麻酔が要るほど削ることは、ほとんどありません)
強度もあり、2015年から行っている治療法ですが、当院ではまだ一度も壊れたことがありません。(症例をしっかり見極めていることも理由の一つです)
治療後の状態です。とても自然な感じで入り、患者様にも喜んで頂けました。
裏から見ても表からも見ても、他人には見分けはつきません。
最近府外からの接着性ブリッジ希望者がかなり増加しております。
沢山症例を手掛けることができ、その分知見が蓄積され、本当に有難く思っております。
歯を削る量、どこを削るか、ジルコニアやセメントの商品はどれを選ぶかなど、簡単そうに見えて経験が結構左右する治療です。
↑装着後1年後の写真(2024年7月)。素晴らしい状態。今回の接着ブリッジの治療を受けて当院を大変信頼して下さり、2時間かけてでも定期検診にお越し下さってます。
こういう信頼関係が構築できたとき、歯科医師として大変嬉しいのです!
前歯部1本支台の2本の接着性ジルコニアブリッジの
<メリット>
・歯をほとんど削らなくて良い
・治療回数は2回のみ(1日目:歯を削って光学スキャン 2日目:装着(もしくは1日で完了させるワンデートリートメントも可能な場合があります)
・費用が2本分で済む。 この症例では132,000×2本でした。
・もし壊れても、元の状態に戻るだけ。その時に通常の沢山歯を削るブリッジを行うのもよし、インプラントをするのもよし。
<デメリット>
・通常の3本のブリッジよりは壊れやすいかもしれない(2015年から行っている当院の経験上、まだ壊れたことはありませんが・・・)
・支えている1本の歯に負担がかかりすぎることがある(症例選択が重要です)
・ポンティック(ダミー)の部分のみで硬いものを噛むことはなるべく控えた方がよい
・噛み合わせが深い(ディープバイト)の患者様には、使えない場合がある(こればかりは応相談です)
・壊れてしまい、通常のブリッジを行う場合などは、再度費用がかかってしまう(当院の保証期間は5年)
以上、ジルコニア製接着性ブリッジの紹介でした。
皆さん、本当に喜んで下さるので、私も大変遣り甲斐のある治療の一つです。
(文責:寺嶋宏曜)