2024/03/13前歯の抜歯即時埋入~ルートメンブレンテクニック~
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大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋です。
今回も前歯のインプラント症例を紹介致します。
今回も歯科医師の皆様向けの内容にもなっております。
まずは↑の写真のビフォーアフターをどうぞ。
今回は右上1番の歯肉の陥没が大きいため、やや難症例でした。
では概要をご説明致します。
40代男性、お子様の頭が歯にぶつかってから、ブリッジが腫れてきたとのことです。
外傷による歯根破折と前医に診断され、インプラント治療を希望して当院に来院されました。
残念ながら歯根破折を起こすと保存がほぼ不可能です。
患者様は、「前歯は美しく入って当たり前」と思われていますので、ハードルがぐっと上がっております。
いつものように、サージカルガイドと仮歯を用意しておき、オペに臨みます。治療のプロトコールは私の中で十分に確立されたオペですので、どうぞご安心下さい。
こういう歯を抜いたら、歯肉は一気に吸収し、陥没してしまい、後でインプラントを埋めることが余計難しくなります。
そこで、歯を抜いた日にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」が必須の症例と言えます。
まずはブリッジを除去したところ、やはり完全に歯根が折れていることが確認できました。
歯を抜歯して徹底的に感染源を掻破します。そしてサージカルガイドを用いて、インプラントを埋入しました。
今回歯根の一部が健全だったため、その健全な部分は保存するルートメンブレンテクニック、ソケットシールドテクニックを行いました。
この技術の詳細は、私のインプラントのセミナーを御受講下さい。(ちなみにエビデンスが確立されている治療であり、私のテクニックではありません)
骨補填材と自家骨を混ぜたものを移植し、さらに歯肉を移植しました。
経験上、このような症例では歯肉移植も必須と思っております。
歯肉移植って聞いたらめちゃくちゃ怖いかもしれませんが、そこまで大変な手術ではありません。
仮歯を入れて帰るため、歯が無い時期は0のため、満足度が高い治療法です。
4週間後の状態でも安定しております。
実はこの後に、SNSには載せることのできないインプラントメーカーサイドのトラブルも生じましたが、インプラントの結果には影響しないようにリカバー出来ております。
ご心配をおかけした患者のS様にはお詫び申し上げます。(結果的には非常にご満足頂けて私も安心しました)
結果はいかに?最後までご覧ください!
リカバリーから3か月後の状態。歯肉の状態も素晴らしい。
最終の上部構造を入れるときの状態。美しい歯間乳頭。結合組織移植によるボリューム感満載の歯肉。
歯科医師ならいつまでも見ていられる美しい歯間乳頭とオベイドポンティック。(歯医者なら絶対に拡大して見るはず)
右上2番の切端が斜めになっているのは、対合歯に合わせたためです。対合歯の切削も提案いたしましたが、患者様が希望されなかったため、このような歯冠形態になっております。
術前と術後。美しい歯肉を作り上げることができました。
歯肉移植(結合組織移植術)を行ったからこそ得ることができた結果です。
前歯のインプラント治療においては、この歯肉の移植は非常に重要であると考えております。
3か月後にさらに歯肉が安定しております。
前歯のインプラントは、あらゆる技術を結集させる必要があります。
最後に患者様からの口コミを頂いたのでご紹介いたします。
嬉しいコメント本当にありがとうございました。
医療人として私が大切にしている言葉は、「愛と覚悟はそこにあるのか?」です。
愛と覚悟をもってトラブルにも向き合ったための結果と言えます。
これからも、難症例に立ち向かいたいと思います。
文責 寺嶋宏曜