2024/05/09インプラント治療を含めた総合治療~慢性副鼻腔炎への対応~
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大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋です。
今回は治療期間3年かかった、従来型の全顎症例をご紹介致します。
3年かかった理由としては、「慢性上顎洞炎への対応」が求められた症例だからです。
まずはビフォーアフターをどうぞ。
インプラントの黎明期に全顎的な治療を受けられた方で、インプラント周囲炎が生じていてかなり厳しい状況でいらっしゃいました。インプラントから膿がでる。噛めるようになりたいとのことでした。下顎には総入れ歯が入っていました。
今では使われることがないタイプのインプラントが使用されており、右上(レントゲンでは左右反対なので、↑の写真の左上)の5番のインプラントが右側上顎洞と貫通しており、それにより重度の副鼻腔炎が生じていました。
まずは原因であるインプラントの切断して上顎洞内の洗浄を行いました。瘻孔の閉鎖術も行いました。
そして2か月のマクロライド療法を行いましたが、CT上での上顎洞炎が治りませんでした。
そこで耳鼻科と連携して治療計画を立てていきました。
耳鼻科の診断では、上顎洞炎および篩骨洞炎であり、サイナスリフトなどの上顎洞へのアプローチは禁忌であると指示を受けました。
従って上顎洞を触らないインプラント治療を行うことにしました。
骨が無いためかなり難しいオペとなりました。
しかし本症例は骨造成を全く行っていないので、患者様の身体的負担は非常に少ないものとなりました。
その日のうちに仮歯を装着する、即時荷重を行いました。
即時荷重するためにはある程度の初期固定が必要なので、やっぱりそれが難しいのです。
下顎は、下顎神経までの距離が短いため、これも結構難しいのです。
ピエゾを用いて慎重にインプラントを埋入しました。
上部構造の製作は、全てのステップをデジタルで行っております。ベリフィケーションインデックスのジグもデジタルで製作しています。
↑上顎は歯肉付のジルコニアブリッジ、下顎は3ブロックに分かれているジルコニアブリッジです。
右側上顎洞を避けつつの即時荷重、そして下顎神経を傷つけないようする下顎の埋入。どちらもかなり難しいオペでした。
美しい歯肉を創り上げることができました。
終了時の口元。大変気に入って頂いております。スマイルもとても自然です。白い歯を希望され、大変満足して頂いております。
治療終了時のレントゲン。
<若手歯科医師向けのまとめ>
サイナスリフトやGBRが出来るようになったとしても、上顎を攻略できるわけではありません。
この症例ではZAGA1もしくは2となるためザイゴマインプラントも難しいと感じています。
このような上顎洞を一切触れないケースの即時荷重には、上顎結節への埋入、デンサーバーでの骨の圧縮、鼻腔底の利用などあらゆる技術が問われます。
私のプライベートセミナー抜歯即時埋入セミナーではそれらの細かいテクニックをお伝えしております。
もしよろしければお問合せ下さい。
文責 寺嶋宏曜