2024/08/25前歯のインプラント (抜歯即時埋入と即日仮歯と歯肉移植)
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大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋です。
今回も前歯のインプラント症例を紹介致します。
本症例は、当院の年間インプラント治療300本のうちの1症例を紹介しているだけであり、治療結果には個人差があることをご了承ください。
まずは↑の写真のビフォーアフターをどうぞ。
48歳女性です。
黄色の矢印のところが腫れてきて、歯がぐらついていることが主訴で来院されました。昔から通って頂いている患者様です。
では概要をご説明致します。
ポケットが深くなっており、CT所見より歯根破折と診断しました。
残念ながら歯根破折を起こすと保存がほぼ不可能です。ご本人がインプラント治療を希望されたため、行っていくことになりました。
歯を抜いてその日のうちにインプラント&仮歯を装着する治療法です。
患者様は、「前歯は美しく入って当たり前」と思われていますが、実際は一番難しいのです。
いつものように、サージカルガイドと仮歯を用意しておき、オペに臨みます。治療のプロトコールは私の中で十分に確立されたオペですので、どうぞご安心下さい。
こういう歯を抜いたら、歯肉は一気に吸収し、陥没してしまい、後でインプラントを埋めることが余計難しくなります。
そこで、歯を抜いた日にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」が必須の症例と言えます。
差し歯はすぐに外れて、ポケットを測定すると10㎜、やはり歯根破折です。まずは歯を抜歯して徹底的に感染源を掻破します。
そしてサージカルガイドを用いて、インプラントを埋めこみます。
さらに骨補填材を移植しました。さらに感染で弱り、薄くなってしまっていた歯肉を治すために歯肉移植を行いました。経験上、このような症例では歯肉移植も必須と思っております。
専門用語では、結合組織移植術(Connective Tissue Graft)って呼びます。CTGって呼ぶのが歯科の世界の用語です。
歯肉移植って聞いたらめちゃくちゃ怖いかもしれませんが、そこまで大変な手術ではありません。
上顎の親知らずがあったところから採取するだけです。採る時間も5分程度です。この部分は取れる歯肉の量が少ないことが欠点ですが、すぐに治る部分でもあるため、痛みもほぼ出ません。
CTGを行い、仮歯を入れてオペ終了。
毎日毎日手術していますが、症例によってかかる時間ってバラバラです。
やっぱり抜歯と感染性肉芽組織の除去に一番時間がかかります。こればかりは幅があるのです。
今回のオペはめちゃくちゃ早く終わりました。オペ室への入室から退室までで60分しかかかっていません。
実際のオペ時間は40分(抜歯⇒インプラント埋入⇒骨&歯肉移植⇒仮歯装着まで全ての過程を含む)
↑7日後の状態。大変美しい状態。腫れも痛みもほとんどなかったとのことです。
術前の感染して腫れていた部分も消えています。
3か月後の治療終了時。めちゃくちゃ綺麗な歯肉です。
正中離開のままいこうかと思ったのですが、ご本人が閉鎖することを希望されたため、左上1にダイレクトボンディングをしています。
レントゲンの術前と術後
ビフォアーアフターです。
非常に満足して頂けました。
治療期間 3.5か月(抜歯から最終上部構造装着まで)
治療費 約55万円(税込 オペ、移植、上部構造など全ての費用が含まれております)
前歯のインプラントは、あらゆる技術を結集させる必要があります。
特に抜歯即時埋入が必須と言えます。
とにかく、今ある歯を抜く前にご相談頂けると幸いです。
文責 寺嶋宏曜