2025/02/09遠方の患者様の前歯のインプラント治療
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大阪府箕面市の寺嶋歯科医院の理事長の寺嶋です。
今回も前歯のインプラント症例を紹介致します。
当院の年間350本以上の症例の中から、あくまでも1本の治療例を提示しているだけです。患者様個々によって治療結果は異なることをご了承ください。
私の症例集を毎回ご覧頂いている方からすると、インプラントって簡単な治療なんだって思われるかもしれませんが、術者は結構考えること多いので安易に思わないようにお願いします(^^)/
まずは↑の写真のビフォーアフターをどうぞ。
千葉県在住の59歳女性です。千葉県から夜行バスでいらっしゃり、治療を受け、新幹線で帰宅される方でした。
近医で歯根破折で抜歯と診断され、インプラント治療を提案されたそうです。
前歯のインプラントは腫れるし、痛いと説明を受け、その後あらゆる歯科医院のホームページを検索され、最終的に当院のホームページに辿り着いたとのことです。
では概要をご説明致します。
この症例の難しいポイントは、千葉県在住のため、アポイント回数を減らしつつ、何かあってもすぐに来院できたいため、腫れたり、術後出血が生じて不安を与えないようさせて頂く事でした。
歯の色が複雑なため、技工士が大変な症例でありますが、執刀医の私にとってはインプラント手術自体はいつものプロトコールで問題無く結果を出せるイージーな症例です。
まずはデジタル診断を行います。
いつものように、サージカルガイドと仮歯を用意しておき、オペに臨みます。
サージカルガイド通りに、予定通りの位置にインプラントを埋め込みます。
今回使用したインプラントは、ご本人の希望によりノーベルバイオケア社のノーベルアクティブという商品です。
その失った部分に骨補填材を移植し、さらに歯肉を移植して封鎖します。
この歯肉移植の技術を結合組織移植術(Connective Tissue Graft)と呼び、歯肉で骨補填材が漏れないように封鎖しつつ、歯肉の増大を図るテクニックです。
抜歯した歯をみると、完全に歯根が吸収してしまっています。
今回歯肉を採取した部位は、「上顎結節」という部位です。この部位は治癒も早く術後出血もまず生じることがないため、非常に安全な採取ポイントです。
デメリットは、量があまり取れないことです。人によっては全く取れない場合があります。親知らずが生えている方も取れません。
今回は必要な歯肉の量が少しで良かったため、上顎結節2か所からの採取で十分でした。
オペ終了時の写真。この状態で帰宅して頂けるので喜んで頂けます。このあと新幹線で千葉に帰宅されました。
歯の色が難しいため、特注の仮歯です。
16日後の状態。大変良い状態です。痛みも腫れもほとんどなかったとのことでした。
私のインプラントセミナーを受講して下さった千葉県のS先生に術後のフォローをお願いしました。(この場をお借りして深く感謝申し上げます)
オペから2か月後に最終の上部構造の型取りをするために来院して頂きました。最高の歯肉の状態です。
患者様とは郵送や写真などでやりとりして、上部構造を完成させました。
色が難しい方で、遠方の方は、やり直しをしたくないため、技工士にとってはここが一番大変なところです。
その後少し体調を崩されたとのことで、来院期間が開いてしまいました。
結局、オペから11か月後に最終の上部構造を装着することができました。良い感じですね。めちゃくちゃ綺麗な歯肉です。
御本人からも、「どの歯がインプラントか分からない」と言って頂けました。
歯肉の周辺は黄色味を入れて歯肉退縮を再現しようかと相談していたのですが、最終的に写真のように仕上げました。
ビフォアーアフターです。
非常に満足して頂けました。
前の医院では、前歯のインプラントは大変だと聞いていてとても不安がっていらっしゃいましたが、その不安なんだったんだろうと仰って頂けました。
治療期間 11か月(抜歯から最終上部構造装着まで) 通常は3-4カ月で終了できます。
治療費 約55万円(税込 オペ、移植、上部構造など全ての費用が含まれております)
リスク 術後の腫れ 痛み
前歯のインプラントは、あらゆる技術を結集させる必要があります。
特に抜歯即時埋入が必須と言えます。
私の経験上、歯がある状態からスタートすると、ほとんどの場合この症例のように1回のオペで終われます!!
抜いてから来られる方多いのですが、とにかく、今ある歯を抜く前にご相談頂けると幸いです。
治療結果には個人差があることをご了承ください。
治療結果への過度は期待はお控え下さいますように、よろしくお願いいたします。
文責 寺嶋宏曜