2025/08/30インプラント周囲の角化歯肉移植症例 ~遊離歯肉移植術(Free Gingival Graft)~
- 症例集
ご挨拶
大阪府箕面市の寺嶋歯科医院、院長の寺嶋宏曜です。
日々の診療の中で、インプラントを長持ちさせるための歯肉の環境づくりはとても大切です。今回は、インプラント周囲の角化歯肉不足に対して行った症例をご紹介します。![]()
症例概要
60代女性。過去に当院でインプラント治療をさせて頂いた患者様。
インプラント周囲の角化粘膜が不足しており、 「汚れが溜まりやすい」「歯磨きがしにくい」「たまに痛い」 という主訴がありました。
治療内容
口蓋(上顎の内側)から歯肉を採取し、インプラント周囲に移植しました。
この手術を「遊離歯肉移植術(Free Gingival Graft)」と呼びます。
このオペは全く難しいものではなく、所要時間はおよそ30分程度で終わります。
術後1週間の抜糸の段階では移植した歯肉の色合いなどもまだ良くないですが、 3か月経過した時点では移植歯肉は綺麗に生着し、インプラント周囲の環境が大きく改善しました。
治療経過
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術前:角化粘膜不足、清掃不良、ブラッシング困難

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術直後:口蓋から採取した歯肉を縫合固定

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1週間後:やや腫脹はあるものの治癒経過良好


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3か月後:角化粘膜がしっかりと確立され、主訴はすべて解決

治療期間・費用
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治療期間:約3か月
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治療回数:3~4回程度
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治療費:約10万円(2025年1月時点)
リスク・注意点
手術後には以下のような症状やリスクが生じる場合があります。
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腫れ
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出血
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痛み
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感染
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移植片の生着不全
まとめ
角化歯肉が不足していると、インプラント周囲の清掃が難しくなり、 炎症や不快症状が出やすくなります。
遊離歯肉移植術によって歯肉環境を整えることで、 清掃性が改善し、インプラントを長期的に守ることができます。
周囲の角化粘膜がこのように減少してしまうことは、決して珍しいことではありません。
今回の症例のようにすでに上部構造を装着した後にFGGを行うことも可能ですし、 もちろん上部構造を装着する前に行うことも可能です。
つまり、この治療はインプラントのどの段階でも適応できる柔軟な方法なのです。
このオペは患者様の負担も少なく、短時間で終わる治療です。
インプラント周囲の歯肉の不具合でお悩みの方は、気軽にご相談ください。
院長コメント
この遊離歯肉移植術は、歯周病専門医にとっては難しいものではなく、比較的シンプルで短時間で行える治療です。
しかし、患者様にとっては「歯磨きがしやすくなった」「インプラント周囲の不快感がなくなった」といった日常生活の快適さにつながり、その結果インプラントの長期安定にも直結します。
私たちは、こうした小さな改善の積み重ねこそが、大きな安心と笑顔につながると考えています。