2025/09/14前歯インプラント治療症例 ~ルートメンブレンテクニックで自然な見た目を実現~
- 症例集
大阪府箕面市の寺嶋歯科医院、院長の寺嶋宏曜です。
これまで15年間で3,000本以上のインプラント治療を行ってまいりました。その中の一例をご紹介します。
※本記事で紹介する症例は一例であり、結果には個人差があります。
特に前歯のインプラント治療は、見た目の美しさが大きく関わるため、術者の技術力が結果に直結する治療です。
症例概要
40代女性
前歯の差し歯が脱落して来院。
診断は「歯根破折」で、歯ぐきにも膿が出ていたため抜歯が必要でした。
患者様はインプラント治療を希望されました。![]()
治療の工夫 ― ルートメンブレンテクニックとは?
今回の症例では、歯根が破折していたものの、一部は健全に残っていました。
そこで、ルートメンブレンテクニック を採用しました。
ルートメンブレンテクニックとは?
歯の根の一部(特に唇側の歯根)を意図的に残すことで、歯ぐきや骨のボリュームを維持し、自然な前歯の形を保つ治療法です。
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歯ぐきの厚みや形態が保たれる
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自然で美しい見た目を再現しやすい
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インプラントと歯ぐきの調和が得られる
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CTG(結合組織移植術)といった追加の歯ぐき移植を回避できる可能性がある
この方法は高度な技術が必要ですが、審美性の維持と予後の良さは数多くの学術論文で報告されています。
治療の流れ
CT所見
術後のCT画像では、残した歯根(ルートメンブレン)が映っており、その直後ろにインプラントが絶妙な位置で埋入されていることが確認できました。
これにより、審美的にも機能的にも優れた結果を得ることができました。
術前・術後の比較写真
抜歯をすると通常は歯ぐきや骨が痩せてしまうのですが、今回の症例では 唇側のボリュームがしっかり維持されている のがわかります。
これにより、自然でふくらみのある前歯のラインを保つことができました。
インプラント治療後も「歯ぐきが下がって見た目が不自然になる」といったリスクを最小限に抑えられたことが、大きなポイントです。![]()
治療期間・費用・リスク
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治療期間: 約3か月
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手術回数: 1回
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費用: 約100万円(2本インプラント)
想定されるリスク
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腫れ
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痛み
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出血
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内出血
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インプラントが骨と結合しない可能性(再手術が必要となる場合あり)
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治癒遅延(喫煙・全身疾患などが影響)
まとめ
本症例では、ルートメンブレンテクニック+即時修復 により、自然な前歯の見た目と機能を短期間で回復できました。
この方法は専門的で高度な技術を要しますが、効果と予後の良さが報告されており、安心して選んでいただける治療法です。
参考文献
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Hürzeler MB, et al. "The socket-shield technique: a proof-of-principle report." J Clin Periodontol. 2010;37(9):855-862.
→ 世界的に有名な研究で、歯根の一部を残すことで歯ぐきの形を維持できることを報告。 -
Gluckman H, et al. "A retrospective evaluation of 128 socket-shield cases in the esthetic zone and posterior sites: Partial extraction therapy with up to 4 years follow-up." Clin Implant Dent Relat Res. 2018;20(2):122-129.
→ 多くの症例で長期的にも良好な結果が得られていることが示されています。